媒体選定の前に求人を分ける

一社で複数職種を採用する場合、媒体契約を会社単位で考える前に求人を分けます。

たとえば、次のような求人は候補者接点が異なります。

・若手のWebエンジニア

・テックリード候補

・SaaSフィールドセールス

・エンタープライズ営業

・カスタマーサクセス

・PdM

一媒体ですべてを採用しようとすると、職種によって母集団や返信が弱いことがあります。

求人ごとに第一候補媒体と補完媒体を決める方法が現実的です。

比較軸1|候補者母集団

最初に見るのは、その媒体に採用したい候補者がどの程度いるかです。

登録者数全体だけでは判断できません。

たとえばエンジニア採用なら、バックエンド、フロントエンド、SREなど求人に合う職種・経験の候補者がいるかを見ます。

営業採用なら、法人営業、新規開拓、エンタープライズ、無形商材など求人で必要な経験を持つ候補者がいるかを確認します。

媒体導入前に可能であれば検索条件を作り、実際の候補者件数を確認します。

比較軸2|検索条件の作りやすさ

スカウト媒体では、候補者検索の精度が運用効率に影響します。

確認したいのは、次のような項目です。

・職種

・業界

・スキル、技術

・年収

・勤務地

・職務経歴のキーワード

・最終ログインなどの活動情報

ただし、検索項目は媒体ごとに異なります。

求人要件を検索条件へ落とし込めるか、検索結果を広げたり狭めたりしやすいかを確認します。

比較軸3|スカウト通数・送付方法

媒体ごとにスカウト通数、種類、追加購入、再送などの条件が異なります。

候補者母集団が十分にあっても、必要な送付数を確保できなければ採用計画に届きません。

一方、通数が多くても候補者選定や文面作成の工数が足りなければ消化できません。

媒体契約では、通数だけでなく「自社が実際に運用できる送付量」を考えます。

比較軸4|候補者プロフィールの情報量

候補者選定では、職種名だけでなく、担当業務、成果、技術、顧客、役割などを確認します。

媒体によってプロフィールの項目や記載の深さが異なります。

エンジニア採用であれば技術情報、営業であれば顧客や商材、CSであれば支援業務など、求人判断に必要な情報を確認しやすいかを見ます。

比較軸5|料金体系

媒体費は、定額、期間契約、スカウト通数、成功報酬など複数の要素で構成されることがあります。

比較するときは、表示価格だけでなく次を揃えます。

・利用期間

・求人掲載数

・スカウト通数

・追加通数の費用

・成功報酬の有無

・初期費用

・オプション費用

一採用あたりの費用だけでなく、必要送付量と採用人数に対してどの契約が合うかを見ます。

比較軸6|運用工数

媒体導入後には、候補者検索、選定、文面、送付、返信、レポート、改善が必要です。

候補者数が多い媒体ほど、確認工数も増える場合があります。

複数媒体を併用する場合は、求人ごとにどの媒体を何通運用するかを決めます。

採用担当者の工数が不足する場合は、部分委託や運用代行も選択肢になります。

媒体タイプ1|総合型

総合型媒体は、幅広い職種・業界の候補者へ接点を作りやすいタイプです。

IT・SaaS企業では、営業、CS、企画、管理系職種など複数職種を採用するときに使いやすい場合があります。

一方、特定の技術や専門職を探す場合は、検索条件の設計が重要になります。

候補者数が多いから良いのではなく、求人に合う対象者率を確認します。

媒体タイプ2|ハイクラス・即戦力型

管理職、リーダー、専門性の高い即戦力層を採用したい場合は、ハイクラス・即戦力層を主対象とする媒体が候補になります。

IT・SaaSでは、エンタープライズ営業、営業責任者、テックリード、PdM、管理職などで検討できます。

ただし、職位や年収レンジが高いだけで適合するわけではありません。

求人で任せる責任範囲と候補者経験を合わせます。

媒体タイプ3|エンジニア特化型

ソフトウェアエンジニア、SRE、データ人材などを採用する場合は、技術職に特化した媒体が候補になります。

技術スタック、開発経験、公開アウトプットなど、エンジニア採用に必要な情報を確認しやすいサービスもあります。

一方、営業やCSを同じ媒体で採用できるとは限りません。

エンジニア採用だけを別媒体へ分ける方法もあります。

媒体タイプ4|SNS・タレントプール型

転職活動が明確ではない人も含め、日常的なプロフィールやつながりから候補者へ接点を作るサービスもあります。

こうした媒体では、求人への応募意欲が顕在化していない候補者へ声をかけられる可能性があります。

その分、いきなり応募を求めるより、会社や仕事を知ってもらうコミュニケーションが重要になる場合があります。

媒体タイプ別に見る実際のスカウト媒体

ここまでの媒体タイプは、実際には複数の媒体名に対応します。ここでは、IT・SaaS企業の採用で比較されることがある媒体の例を、タイプ別に整理します。個別の機能・料金は各媒体の公式情報で確認してください。

Findy|エンジニア特化型の例

Findyは、IT・Webエンジニアと企業をマッチングするエンジニア採用向けサービスで、エンジニアのスキル情報と求人票をAIで解析してマッチングする機能が案内されています(Findyの媒体ガイド)。技術要件が明確なソフトウェアエンジニア、SREなどの採用で候補者を確認する候補になります。

LAPRAS|ハイスキルエンジニア向けの例

LAPRASは、GitHubなど公開された技術活動を活用してITエンジニアを探し、スカウトできるサービスです(LAPRASの媒体ガイド)。テックリード候補やハイスキル層など、公開されたアウトプットから経験を確認したい採用で検討されることがあります。公開情報が少ない候補者を能力不足と決めつけず、面談で確認する設計が必要です。

Green|総合型の例

Greenは、IT・Web業界やIT関連職種の求人を多く扱う媒体で、エンジニア・デザイナーだけでなく営業・マーケティング・管理部門など幅広い求人も掲載されています(Greenの媒体ガイド)。エンジニアだけでなく、SaaS営業やカスタマーサクセスなど複数職種を一つの媒体で並行して探したい場合の候補になります。

YOUTRUST TALENT|SNS・タレントプール型の例

YOUTRUST TALENTは、転職顕在層だけでなく、今すぐ転職活動をしていない潜在層との接点づくりに向くとされる媒体です(YOUTRUST TALENTの媒体ガイド)。PdMやテックリード候補など母集団が限定されやすい職種で、中長期的な関係づくりを前提に候補者へ接点を作りたい場合に検討されることがあります。

LinkedIn Recruiter|グローバル・専門人材向けの例

LinkedIn Recruiterは、LinkedIn上の人材を検索し、候補者管理やInMailでのアプローチまで一つのフローで扱える企業向けプロダクトです(LinkedIn Recruiterの媒体ガイド)。エンタープライズ営業責任者や外資系SaaS出身者など、グローバルな経験を条件にしたい求人で検討されることがあります。

職種別|ソフトウェアエンジニアの媒体選定

エンジニアでは、候補者数だけでなく技術情報の確認方法を見ます。

確認したい主な項目は次の通りです。

・バックエンド、フロントエンド、SREなどの職種

・開発言語、FW、クラウド

・設計、実装、運用などの工程

・技術リード、マネジメント経験

・プロダクトやシステムの種類

総合型で広く探しつつ、エンジニア特化型で補完する方法もあります。

職種別|営業の媒体選定

営業では、SaaS経験の有無だけでなく、顧客層や営業プロセスを見ます。

たとえば、次の要素です。

・新規開拓、既存深耕

・インサイド、フィールド、アカウント営業

・SMB、ミッドマーケット、エンタープライズ

・商材単価や契約期間

・無形商材、IT、SaaS経験

・マネジメント経験

若手営業を広く採用したい場合と、エンタープライズ営業責任者を採用したい場合では、候補媒体が変わります。

職種別|カスタマーサクセスの媒体選定

CSは企業によって仕事内容が異なるため、職種名検索だけでは不足することがあります。

オンボーディング、活用支援、更新、アップセル、業務改善など、求人で必要な業務経験を整理します。

SaaS経験者に限定するか、法人顧客支援、コンサル、営業など近接経験まで広げるかも決めます。

職種別|PdM・プロダクト企画の媒体選定

PdMは候補者母集団が限定されることがあります。

職種名だけでなく、新規事業、プロダクト企画、要件定義、ユーザーリサーチ、KPI管理、開発連携などの経験へ広げます。

ハイクラス型、総合型、IT特化型など複数媒体で候補者を確認する方法があります。

総合型と特化型は併用できる

一媒体に絞る必要はありません。

総合型で広い母集団を確保し、エンジニア特化型で専門候補者を補完する、といった使い分けができます。

ただし、媒体数を増やすほど運用工数も増えます。

複数媒体を契約する前に、求人ごとの送付数、候補者重複、担当者、KPIレビュー方法を決めます。

媒体選定でやってはいけないこと

登録者数だけで決める

登録者全体が多くても、自社求人の対象候補者が多いとは限りません。

実際の検索件数や対象率を確認します。

有名だから契約する

知名度が高い媒体でも、求人の職種・レイヤー・地域によって相性は変わります。

競合他社が使っているから選ぶ

他社と自社では採用要件、予算、運用体制が異なります。

自社求人の条件へ落とし込んで比較します。

料金だけで決める

媒体費が安くても、候補者母集団が少ない、必要通数が足りない、運用工数が高い場合があります。

契約費用と採用運用全体をセットで見ます。

媒体導入前に確認したいチェックリスト

媒体の商談・トライアルでは、次を確認します。

・求人条件で検索した候補者数

・候補者プロフィールで確認できる情報

・検索条件の種類

・スカウト通数と追加条件

・求人掲載数

・料金と契約期間

・成功報酬の有無

・返信後の管理機能

・第三者運用、外部委託の条件

・AI、自動化、アカウント利用に関する規約

特に運用代行を使う場合は、第三者がどの範囲を操作できるかを媒体ごとに確認します。

AIを媒体選定に使う

生成AIは、複数求人の要件を整理し、「職種」「レイヤー」「必要母集団」「検索軸」「想定通数」など媒体比較に必要な項目を標準化する用途に使えます。

一方、媒体の登録者数、料金、機能、規約は変わるため、AIの一般知識だけで確定しません。

公開情報、媒体担当者、現行契約・管理画面で確認します。

AIスカウトくんでの媒体運用

AIスカウトくんは、TechSuite株式会社が提供する、生成AIと採用のプロを組み合わせたスカウト代行サービスです。

求人ごとにターゲットを整理し、媒体特性、候補者母集団、検索条件、通数、運用工数を見ながら、スカウト運用を支援します。

複数媒体を使う場合も、すべて同じ検索条件・文面にせず、媒体と候補者層に合わせて運用します。

よくある質問

IT・SaaS企業なら複数媒体を契約した方がよいですか?

必ずしもそうではありません。まず重要求人で対象候補者がいる媒体を確認し、必要母集団が足りない場合に補完媒体を追加します。

エンジニア採用と営業採用で同じ媒体を使えますか?

使える場合はありますが、各職種の候補者母集団と検索しやすさを確認します。エンジニアだけ特化型を併用する方法もあります。

媒体の登録者数は多いほどよいですか?

全体登録者数より、自社求人の条件で確認できる候補者数と対象率が重要です。

料金比較では何を見ればよいですか?

契約期間、求人掲載数、通数、追加費用、成功報酬、オプションなどを同じ条件に揃えて比較します。

AIスカウトくんに関するよくある質問

スカウト代行とRPOの違いは?

違いは支援範囲です。AIスカウトくんはスカウト運用を中心に支援し、TechSuiteでは採用活動全体を支援するRPOサービスの「AI RPOパートナー」も提供しています。

候補者検索から送信まで、すべて任せられる?

はい。AIスカウトくんでは、候補者検索・選定からスカウト文の作成、送信まで対応できます。ただし、プランによっては検索条件の作成や定期的な振り返り・改善支援を含まない場合があります。

スカウト媒体の利用料金は代行費に含まれる?

いいえ。AIスカウトくんの代行費とは別に、利用するスカウト媒体の契約・利用料金が必要です。

新卒採用と中途採用の両方で使える?

はい。AIスカウトくんは新卒採用・中途採用の両方に対応しています。人材紹介会社の候補者スカウト運用にも対応できます。ただし、媒体の利用規約により第三者による代行が認められていない媒体では対応できません。

どのスカウト媒体でも代行できる?

はい。ビズリーチやOpenWorkリクルーティングなど、基本的に各種スカウト媒体で代行できます。ただし、媒体の利用規約により第三者による代行が認められていない媒体では対応できません。利用予定の媒体について、事前に対応可否を確認します。

まとめ|媒体は「職種×候補者層×運用条件」で選ぶ

IT・SaaS企業のスカウト媒体選定では、会社の業界だけでなく、採用職種、役割、候補者母集団、検索機能、通数、料金、運用工数を比較します。

エンジニア、営業、CS、PdMでは候補者の見方が異なるため、求人ごとに第一候補媒体と補完媒体を考えます。

総合型、ハイクラス型、エンジニア特化型、SNS型などを役割に応じて使い分け、実際の候補者数と運用可能な送付量を確認してから導入することが重要です。